白黒ノ時雨 -小説館-

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『炎の山の狩人たち』02

モンスターハンター二次創作小説『炎の山の狩人たち』
Chapter1-3




Chapter1-3『王国の塔』



集会所に入ると、すでに十人ほどのハンターが騒いでいた。

酒の飲めないジン。

朝から酒を飲み騒ぐ連中は理解不可能だったが、どうでもよかった。

ジンにとっては自分に関係のないことで、興味も沸かなかったのだ。

その中をジンは見渡す。

ゼロと話している、ジンのチームのメンバーをもう一人見つけた。

名をレオン=ドラグノフ。西方出身でジンと同い年の少年。

「あ、おはようございます。」

レオンはジンに気がついて、いつもどおりの丁寧な口調で言った。

ハンターとは思い難い気品の良さ。とても十八歳には見えない。

少なくとも、ジンやゼロと並べば誰だってそう思う。

「お久しぶりですね。」と彼は柔らかに続けた。

顔つきだけで誰が見ても聡明さと優しさが伝わる微笑気味のポーカーフェイスは、どんな状況でも揺らぐことは無い。

ボルカ村の女性の間でも人気があり、その分男からは変にライバル意識を燃やされていた。

「おはよう。王国からの依頼、上手くいったか?」

ジンは一番気になっていたことを切り出した。

レオンは二週間前から昨日まで、王国から直接依頼された狩猟クエストに行っていた。

「はい、おかげさまで。雪山でのドドブランゴ二頭の討伐だったのですが、大きな犠牲も出ず無事成功しました。」

「そうか。」

いつもの笑顔で話すレオンに、ジンも嬉しそうに微笑んだ。



ジンがレオンに出会ったのは、三ヶ月ほど前のことだった。

ゼロと二人で燃石炭採集のクエストを受け、火山へ向かった。

必要な燃石炭を掘り出し、キャンプへ帰ろうとしていたときだった。

すぐ隣のエリア―狩場―に轟いたのは雷鳴のような爆音。

急いで二人はそこへ向かった。と、同時に、緊張と恐怖が二人を強張らせた。

そこには八人のハンターが無惨にも転がっていた。

「これは……」

「これはパーティの規模じゃない。小隊…いや、師団クラスのハンターだぞ!」

「このエンブレムを見ろ…師団どころか、王国の直轄部隊所属だ。」

ジンとゼロは口々に自らの思慮を言い放った。

そこでジンは、まだ息のある――と言うより“軽傷”程度のハンターを見つける。

「おい!しっかりしろ、大丈夫か!?」

彼は殺伐とした火山で、仲間の亡骸の下で気を失っていた。

―――レオン=ドラグノフ。十八歳の彼は、仲間にかばわれて生き残ったのだ。

「こりゃ……ひどいな。」

ジンは立ち上がり、目の前のハンターが独り生きていたことに安寧せず、ただ周囲を見渡した。

ジンたちはレオンをキャンプに運び、ギルドの救護隊を要請し、レオンは命を取り留めた。

強大なもの。人間の良識を超えた、何かが彼を襲ったこと。

ジンは見てもいない“それ”に悪寒を感じた。

静かなる眠りを、彼らが侵してしまったのではないか――――




目を醒ましたときには、レオンの瞳からは自然に涙が流れた。

恐怖からの生還への喜び。また自分がハンターとしての道を歩める事への歓喜。

そんな涙のはずがない。

「なんで…あの仲間たちへの涙か。」

ジンは彼のベッドの横で座る。

「当然だ…!僕は……仲間にかばわれて運良く生き残っただけで…!!」

「ハンター…辞めちまうのか?」

「ふふっ…もう、王国には戻れません…。禁忌破りの仲間殺しハンターですから。」

青鈍――くすんだ曇り空のような青い瞳が、レオンのこげ茶の目に映る。

「丁度いい。」

「……?」

「もう戻れないんだよな。なら、此処に留まって俺と組もう。」

「あなたを同じ目に、仲間と同じ目に合わせるかも知れない。」

「………」

ジンは笑う。声には出さずに、笑った。

「なら答えは早い。俺はお前の仲間のようになっても構わない。お前の力とその牙獣に興味がある。」

「―――レオンって言ったな。改めて訊くが、俺の仲間にならないか?」

レオンは力なく答えた。

「……ありがとう…」

その目に浮かんでいたのは、悲しみの涙ではなく、紛れもない嬉し涙だった。

五日後、退院したレオンは、“正式に”ジンたちの仲間になった。


―――もう、狩猟への恐怖は断ち切れたみたいだな。

ジンは思う。すると、

「今日はクエストご一緒させていただいてもよろしいですか?」

レオンが改まって聞いてきた。

「何言ってるんだ。俺たちはチームの仲間なんだ。遠慮はいらない。」

レオンの肩を叩いて、ジンは笑った。ゼロも笑う。


「あぁ――――――――――!!!レオン君じゃない!!久しぶりだね―――――!!!」

集会所の入り口から大きな声が響いた。レイが走り寄ってきた。

「元気だった?王国のクエストいってたんだって?上手くいった?」

レイは照れくさそうに聞いた。

「えぇ、それはもう。おかげさまで。」

レオンは笑顔のまま続ける。

「お久しぶりにレイさんに会うことができて嬉しいです。お元気でそうで何よりです。」

レイは頬を真っ赤にして照れた。どうもレオンに気があるらしい。

「へっへっ。レイ、テンション高いな。それに顔真っ赤…」

ゼロが茶化す隣で、ジンはあることを思い出した。

「あ、そうか。レイが髪染めたの、そう言えばレオンが来てすぐだったな。」

レイはすでに茹蛸の如く真っ赤だ。



ジンはレオンの背中に担がれているガンランスを見た。

それはまるで王を守る巨城の砦塔のように、まっすぐな強い誇りと忠誠心をもってそびえ立っているようだった。







Chapter1-4『火山の巨岩』

モンスターハンター二次創作小説『炎の山の狩人たち』
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